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「何かしたい。でも、何をしたらいいかわからない。」
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「何かしたい。でも、何をしたらいいかわからない。」 Startup Weekend釧路で見つけた、動き出すための方法

公開日 2026年6月8日

Startup Weekend Kushiro

本番イベント

2026/6/19 (金) - 2026/6/21 (日)

Startup Weekend 釧路(以降、略称「SW釧路」)は、週末54時間でアイデアを形にする起業体験イベントだ。

1分間ピッチで仲間を集め、チームを組み、顧客の声を聞き、最終日にビジネスアイデアを発表する。

短い時間の中で、アイデアを考え、試し、形にしていく実践型のプログラム。

このイベントには、アイデアを持ってはいるが、それが儲かるものなのかビジネスとしてどうなのか、「何かしたい気持ちはあるけれど、何をしたらいいのかはわからない」

そんな状態で来る人もいる。

今回話を聞いたのは、釧路市の地域おこし協力隊として活動しながら、SW釧路に参加したことをきっかけに株式会社釧路オールアクションを立ち上げ、釧路のアクションを増やす活動へとつながっていった小野寺 理江(おのでら りえ)さん。

もともとは建築の世界でキャリアを積み、東京で働いていた彼女が、なぜ釧路に戻り、なぜStartup Weekendに参加し、その後「場をつくる側」へと進んでいったのか。

話を聞いて見えてきたのは、

「何かしたい人にとって、SWはとても良い“考える練習”であり、“動き出すきっかけ”でもある」

ということだった。

しかも、その過程をひとりで抱え込まなくていい。

SWでは、自分ひとりでは言葉にできなかった違和感や関心も、誰かと話し、問い直し、手を動かす中で少しずつ形にしていく。

自分ひとりでは見えなかった視点に出会えることも、SWの大きな魅力だ。

#1. やりたいことが決まらなかった高校時代

インタビューは、思いがけず高校時代の進路選択の話から始まった。

そこに、小野寺さんらしさがよく出ていたからだ。

小野寺:やりたいことがなかったんですよね。理系ではあったんだけど、どこの大学に行きたいとか、どんな職業につきたいとかが思い浮かばなくて。周りに「なんでその大学に行くの?」とか「なんでその職業につきたいの?」って聞いてみても、なんとなくって人も多かった。大学4年間の学費を出してもらうには、“なんとなく”では行けないなーと思って、一旦ステイしました。

この“ステイ”という言い方がとても良い。

進学しない、ではなく、一旦止まる。

分からないまま進むのではなく、立ち止まる。

この慎重さと、自分で納得してから進みたい感覚は、その後のキャリアにも通じているように思う。

#2. 映画と間取り図が、建築につながった

では、そこからどのように建築へ進んだのか。

答えは、意外と生活に近いところにあった。

小野寺:高校卒業後、映画を見るのにハマっていた時期があって、いろんな作品を見てたら、「この家いいな」とか思うようになって自分の家の妄想を始めた。もともと間取り図を手書きで描いて部屋の模様替えを考えるのが好きだったのもあって、あ、自分こういうの好きなんだなって。建築って仕事になるらしい、と思って建築に進みました。

最初から「建築士になる」と決めていたわけではない。

けれど、自分が何に惹かれるのかを丁寧に見ていった結果として、建築が浮かび上がってきた。

この流れもまた、小野寺さんらしい。

肩書きや制度から入るのではなく、まず自分の感覚から始まっている。

(自分の住みたい家を映画で見た間取りを参考にたくさん書いてたスケッチブック)

#3. 東京の学校を選んだ理由は、「検索で一番上に出てきたから」

建築の道へ進むことは決めた。

では、どこで学ぶのか。

ここでも、いかにも小野寺さんらしいエピソードが飛び出した。

小野寺:全然デザインも建築も知らなかったし、もう高校は卒業したあとだから先生に聞くわけにもいかない。だから検索して、一番上に出てきた学校にしました。簡単に入れそうだったし(笑)。

佐々木:東京は遠いって感覚はなかったんですか?

小野寺:全然なかったです。小さい時から年2回くらい東京に遊びに行ってたので、住めるな、と思ってました。

このフットワークの軽さは、もうこの頃から完成していたのかもしれない。

選び方は大胆だが、実際にそこから建築の道に入り、資格も取り、東京でキャリアを積んでいく。

勢いだけではなく、ちゃんとその先を自分で歩いていける人なのだろう。

#4. 建築の仕事を6年続けて、釧路に戻った

建築の学校を卒業したのち、小野寺さんは二級建築士の資格も取りながら、アトリエ系の設計事務所で働いた。

建築家個人の作家性やデザインを強く反映した「意匠設計」に特化した設計事務所だ。

小野寺:場所にも規模にもよるけど、アトリエ系の設計事務所って、構造とか設備は別の会社に任せて、デザインだけをやる会社なんです。そこで通算6年くらい働きました。途中で転職も1回して、そのあと2023年に地域おこし協力隊として釧路に戻ってきました。

ここだけ切り取れば、よくあるUターンの話にも見える。

けれど、背景にはもう少し複雑な思いがあった。

(設計をした施設の模型写真)


#5. 「戻りたい」気持ちはあった。でも、何をしたらいいか分からなかった

小野寺:もともと釧路に戻りたい気持ちはあったんです。でも、じゃあ釧路で何をするのかが分からなかった。就職先を探したりもしたけど、東京でやっていた仕事と地元でできる仕事って違いもあるし、希望職種で探すとかなり狭い。かといって、起業したことがあるわけでもないし。だから、何かしたいけど、何をしたらいいか分からない状態だったんです。

この言葉は、おそらく多くのUターン希望者にも刺さる。

戻りたい気持ちはある。

でも、仕事やお金や生活の現実を考えると、すぐに「これをやります」とは言えない。

やりたいことは“何か”あるけれど、その“何か”の輪郭はまだない。

そんな状態の人にとって、地域おこし協力隊の制度は確かにうってつけだったのだろう。

小野寺:3年間で起業するなり、何か街のためにやるなり、そういう時間を持てる制度だったから、自分にはちょうどよかったんです。


#6. SWに集まってくるのは、「何かしたいけど、何をしたらいいかわからない人」

この文脈で聞くと、小野寺さんがStartup Weekendに強く意味を感じている理由もよくわかる。

小野寺:例外はいるけど、何かしたいけど、何をしたらいいかわからない人って、Startup Weekendに集まってきてるなと思うんです。最初から「このビジネスモデルで起業します!!」っていうよりは、こういうこと考えているけど、どう思う?これうまくいく?ここからどうしたらいい?って人が多めなイメージ。

この見立ては、かなり本質的だ。

SWは、完成された起業家のための場ではなく、

“まだ輪郭の曖昧な熱量”を持っている人のための場

として機能している。

だからこそ、小野寺さんのような人にとっても意味が大きかったのだろう。


#7. 参加のきっかけは、「オーガナイザーになってほしい」だった

Startup Weekend参加の直接のきっかけは、k-HackでつながっていたSW釧路のサポーター・佐藤さんからの声かけだった。

小野寺:k-Hackの内装をちょっと手伝った縁で、佐藤さんとは知り合っていて。その時に、「オーガナイザーになってほしい。でも、なるためには参加しなきゃいけない。だから出てくれ」って言われたんです。

参加して興味を持ってオーガナイザーになったわけではなく、

先に運営に巻き込まれていくことが確定していて参加した。

当時の小野寺さんは地域おこし協力隊になったばかりでかなりフットワークが軽かった。

いろんなイベントに顔を出し、地域の中で動き始めていた時期でもあった。

その流れの中に、SWも自然に入ってきたのだろう。


#8. SWで学べるのは、「考え方の型」

佐々木:SWに出て変わったことってありますか?

小野寺:心境そのものが大きく変わったというより、物事の考え方が整理された感じはあります。ターゲットとかニーズとか、言葉としては知ってても、それがふんわり理解じゃなくて「こういうふうに考えていくのね」っていうのが、ちゃんと理解になっていった感じです。

ずっとアイディアが大事なんだと思っていました。こういうものがあったらいいんじゃない?ならたくさん出せそうだし。でもそうじゃなくて、まず誰がそれを課題に思っているのか、なぜそれが課題なのか、課題になっているのか、それを誰のためにどんなものでどうやって解決するのか、それが有効なものなのか、そういうことに考えを巡らせないといけないのかと、ちょっと考えるとそりゃそう!って話なんですけど、それがよくわかりました。

ここで語られていたのは、まさにSWの教育的な価値だった。

起業するかどうかはさておき、

「何をしたいのか」

「それは誰の課題なのか」

「どういう人に届けたいのか」

そうしたことを、54時間の中で一度ちゃんと考え抜く経験ができる。

小野寺さんは、そういうことを学べる学校もある、と話していた。

たしかに、そういう場に近いものがSWにはある。

しかも、もっと実践的で、もっとぐちゃぐちゃで、でもその分だけ身体に残る形で。

(2023年に初めてSW釧路に参加した時のチーム)


#9. 何かしたい人が集まる場を、1年中続けたいと思った

この流れは、その後の釧路オールアクション設立へとつながっていく。

小野寺:結局、Stertup Weekendってコミュニティづくりのイベントだと思っていて。それをイベントの時だけじゃなくて、1年中できる状態にしたかったんです。常にピッチが起きたり、何かやりたい人が来たり、つながったりするような場所を作れたらいいなって。

イベントは単発でもできる。

でも、その後も人が集まり、話し、何かを始められる場がなければ、火は消えてしまう。

だからこそ、場そのものを持つ。

その発想が、ペンギンファームや釧路オールアクションにつながっている。

(ペンギンファームでの勉強会の様子)


#10. 社名の由来は、No Talk, All Action

会社名の話も印象的だった。

釧路オールアクションという名前は、まさにStartup Weekendのスローガンから来ている。

小野寺:いろんな案が出たんですけど、結局スローガンの「No Talk, All Action!」からもらう形になりました。やっぱりアクションすることが大事だろうって話になって。

このあたりも、とても筋が通っている。

イベントに触れて終わりではなく、その価値観を自分の会社の名前にまで引き継いでいる。

“話すだけじゃなく、まず動く”

その感覚が、小野寺さんの今の活動をよく表している。


#11. SWのオーガナイザー経験は、イベント運営のいい経験になる

後半では、オーガナイザー経験の価値についても話が及んだ。

ここが、これから運営に入る人へのメッセージとしてかなり面白かった。

小野寺:Startup Weekendって、イベントとしてすごく良くできてるイベントです。何ヶ月前にこれをやる、誰に声をかける、ってかなり整理されている。だから、イベント運営を知りたいとか、イベントを1から作る経験をしたいっていう人にもかなりいいと思います。

これは、確かにそうだ。

ある程度世界標準のフォーマットがあって、その中で地域開催を組み立てていく。

スポンサー集め、会場準備、コーチ・ジャッジの調整、広報、当日運営。

実はかなり実践的なイベント運営の経験になる。


#12. 教員や企業研修にも、SWは使えるのではないか

インタビューの終盤は、半分会議のようになっていた。

それもまた、小野寺さんらしい。

教員の参加はもっとあっていいのではないか。

新入社員研修としても使えるのではないか。イベントを1からつくる経験や、ニーズを考える練習、チームで形にしていく体験は、むしろ企業の人材育成に向いているのではないか。

こういう話が自然に出てくるのは、小野寺さんがSWを“起業イベント”としてだけではなく、

「考え方を学び、動き方を知るための場」

として見ているからだろう。


#13. 参加するか迷っている人へ——「来ないとわからない」

最後に、これから参加を考えている人へのメッセージも聞いた。

小野寺:単純に、同じようなことを考えてる人がいっぱいいるのがいいところだと思うので、参加してください。いや本当に、来ないとわかんない。

この言い方がとてもいい。

理屈では説明できる。

でも、それだけでは伝わらない。

実際にその場にいて、話して、迷って、考えてみないと分からない魅力がある。

だからこそ、「まず来てみて」と言うしかないのだろう。


編集後記

今回のインタビューで印象的だったのは、小野寺さんが何度も

「何かしたいけど、何をしたらいいかわからない人」

という言葉を使っていたことだった。

それは、おそらく過去の自分自身のことでもある。

地元に戻りたい。

何かしたい。

でも、就職も起業も、どれが正解かわからない。

その時に、地域おこし協力隊という制度があり、Startup Weekendという場があり、少しずつ見えてきた。

その先で、今度は自分が場を作る側に回っている。

これはとても美しい循環だと思う。

イベントは、その場限りでも成立する。

でも、そこから会社や場所やコミュニティまでつながっていく例を見ると、やっぱりSWは“ただの週末イベント”ではない。

小野寺さんの話は、そのことをよく教えてくれた。


Profile

小野寺 理江(おのでら りえ)

釧路市の地域おこし協力隊。東京で2級建築士としてアトリエ系設計事務所で約6年間働く。2023年に釧路へUターンし、地域おこし協力隊として活動を開始。Startup Weekend釧路への参加をきっかけに、k-Hackや釧路オールアクション、ペンギンファームなど、地域での場づくりやコミュニティづくりに関わっている。

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6月開催の Startup Weekend 釧路に向けて、アイデア作りを楽しく体験できる導入イベントです。

  • 全国で実践されている Startup Weekend 流のアイデア作りを体験できます。
  • アイデア創出ワークショップで、仲間と一緒に発想を広げられます。
  • 講師は NPO法人 StartupWeekend 理事の中本 卓利さんです。

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  • 初日のピッチから始まり、共感した仲間とチームを組んで最終日に発表します。
  • 会場はペンギンファーム(釧路市北大通三丁目7番3号)です。
  • 3日間参加の方には五食と飲料が付き、途中参加・途中退出にも対応しています。

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