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「SW釧路が消滅する、それが理想の未来だ。」

公開日 2026年5月11日

Startup Weekend Kushiro

プレイベント

2026/5/16 (土)

本番イベント

2026/6/19 (金) - 2026/6/21 (日)

Startup Weekend 釧路(以降、略称「SW釧路」)は、週末54時間でアイデアを形にする起業体験イベントだ。

参加者=プレイヤーが集まり、1分間ピッチを行い、チームを組み、顧客の声を聞きながら、最終日にビジネスアイデアを発表する。

イベントの主役は、もちろん参加者たちだ。

けれども、その裏側にはイベントを立ち上げ、続け、裏から支え続けてきた人たちがいる。

今回、お話を伺ったのは、SW釧路の立ち上げ初期から深く関わってきた、佐藤佳祐(さとう けいすけ)さん

ある日を境に誕生した「サポーター」というSW釧路独自の不思議な肩書きで、イベントページに名を連ねてきた、謎多き人物。ジャッジ、コーチ、協賛、相談役、カメラマンとして、SW釧路をつねに支え続けてきた人。

そもそも、なぜこのイベントを続けようと思ったのか。なぜ絶えず関わり続けるのか。

お話を聞いて見えてきたのは、“結果を称えること”よりも、その手前にある3日間の体験こそが重要だという、決して揺るがない軸だった。

#1. はじまりは、深夜のココスから。

佐々木:SW釧路の2回目を開催する話って、佐藤さんから、かすみん(運営メンバーのひとり)に「一緒にやろう」と声をかけたのがキッカケだったんですか?

佐藤さん:いや、それが俺からだったのか、かすみんからだったのか、正直覚えてないんですよね。

佐々木:お互いの記憶が違ってたら、それはそれで面白いですね。諸説あり。(笑)

佐藤さん:でも、「やりたいよね」って話をした記憶はあるんです。たしか、夜にココスに行って、そこで色々と話したんですよ。たまたま、赤間さんにも会って、「赤間さんには、絶対に声をかけたいよね」って言っていたら、結果的に本当にジャッジとして来てくれた。

佐々木:じゃあ、少なくとも“2回目をやろう”という気持ちは、その時点で明確だったんですね。

佐藤さん:そうですね。どっちが最初に言ったかは曖昧だけど、お互いに「やりたいよね」と思っていたんだと思います。

イベントというものは、いつも大きな会議室や正式な企画書から始まるわけではない。

時には、夜のファミレスで交わされた「やりたいよね」の一言から、次なる火が灯る。

SW釧路2回目の始まりも、そうした空気をまとっていた。

#2. ジャッジをするだけじゃ、終われなかった。

佐々木:佐藤さんは、SW釧路の初回開催の時、最初から運営側としてジョインしていたわけではないんですよね?

佐藤さん:そうです。普通にジャッジを依頼されただけです。苫小牧とのつながりがあって、それで「今度、釧路でやるんですけどジャッジお願いできませんか?」と声をかけてもらって。

佐々木:その時点では、Startup Weekend 自体のことを詳しくは知らなかった?

佐藤さん:全然知らなかったです。ビジネスコンテストみたいなものかなと思っていました。だから、正直「俺がジャッジでいいの?」って感じでしたよ。なんかこう、審査員ってもっと“それっぽい人”がやるイメージがあるじゃないですか。肩書きが立派な人とか、投資家とか。だから、私でいいんでしょうかっていう感じはありました。

佐々木:SWはビジネスコンテストではないものの、そういったコンテストであれば著名な人が引き受けるイメージがありますよね。

佐藤さん:でも、行ったら中本さんがいて。「ああ、このイベントってこういう空気なんだ」って一気に分かりましたね。

最初から「新しいイベントを釧路で立ち上げたい」と思っていたわけではない。ただ、頼まれたから引き受けてみた。その始まり方は、拍子抜けするほどに軽やかだ。誰かの想いを感じ取ってしまったら、居ても立っても居られなくなってしまうのだろう。

#3. SWは、結果を称えるためのイベントじゃない。

佐々木:釧路SWをもう一度やろうと佐藤さんが思ったのは、どんな理由だったんですか?

佐藤さん:最初は、ジャッジって“称えるだけ”だと思ってたんですよ。発表を聞いて、「よくやったね」と言って順位をつける。もちろんそれも意味がないわけじゃないけど、本質ではないなと思っていて。

佐々木:なるほど……。その背景には、どんなエピソードや気持ちの動きがありましたか?

佐藤さん:SW釧路の初回の開催時に、結構ちょろちょろ会場を見に行ってたんです。金曜日も見たし、日曜日も朝から覗きに行った。そうしたら、参加者のみんなの顔つきが変わっていくのが見えたんですよ。

「こんなに一生懸命になるイベント、あまり見たことがないな」と思って。感覚としては、学祭に近かったですね。

佐々木:それは私も、すっごく分かります!初日から準備して、走り回って、なんなら徹夜で作業して、最終ピッチに間に合うように必死になる、あの感じ。

佐藤さん:そうそう。あの時間に意味があるんだ、と思ったんです。

結果だけを見て、聞こえのいいことを言って表彰することよりも、その、金・土・日の体験そのものが大事なんだって。

SWは、最終日の発表会だけを見れば、“ビジネスアイデアコンテスト”のようにも見える。

けれど、真の価値があるのは、そこに至るまでの過程だ。

焦り、迷い、ぶつかり、考え、外に出て、誰かに話を聞き、チームで何かをまとめる。その体験こそが、人を変える。

4.もがき続けた、あの3日間にこそ、意味がある。

佐々木:54時間の怒涛の体験は、釧路で暮らす人や街にとって、社会的にも重要なイベントだと感じましたか?

佐藤さん:そうですね。自分は会社を作ったこともあるし、スタートアップっぽいこともやってきたけど、言ってしまえば、スタートアップ(起業)ってSW3日間の連続なんですよ。本当は3日じゃなくてそれを365日やるわけです。でも、その3日だけでもやってみることで、「あ、意外といけるかも」と思う人が出てくる。そのブレイクスルーが起きるのは大きいなと思いました。

佐々木:実際、そこからスタートアップの世界に、えいやー!と足を踏み入れる人も居ますもんね。私自身も、その一人ですし。(笑)

佐藤さん:そうなんですよね。ヒリヒリする感じが楽しいとか、自分もやれるかもしれないって気づく人が、やっぱり出てくる。

たった54時間。しかし、その54時間が、その後の人生の見え方を変えることがある。

佐藤さんが見ていたのは、“優勝アイデアが生まれるかどうか”ではなく、参加者の中に何かの火が灯るかどうか、だった。

#5. 「協賛が集まらなかったら、俺が全部出す」

佐々木:いざ、SW釧路をもう一回やろうって話になった時、私も運営メンバーのひとりでしたが、あの時は人手も足りないし、意外とやることも多いし。実のところ、かーなり大変だったじゃないですか?

佐藤さん:大変でしたね。1人じゃ絶対無理だし、協賛も集めなきゃいけないし、コーチもジャッジも探さなきゃいけない。でも、自分もやりたいと思ってたから「協賛が集まらなかったら俺が全部出すから、走り始めていいです」と言いました。

佐々木:そのスタンス、毎回ほんとうに心から凄いなって思っています。ジャッジもやって、コーチもやって、場合によってはカメラマンの役割こもして、しかも協賛金も出してくださる人が居るだなんて、私が知る限りでは他に聞いたことがないです。

佐藤さん:異常者ですよね(笑)

冗談めかして笑っている佐藤さんだが、簡単に真似できることではない。

「必要だからやる」「やりたいから支える」

その覚悟がある人がひとりいるだけで、イベントは続く。 SW釧路の2回目以降には、そういった支え方をしてくれる人がいてくださった。だから、5周年を迎えられた。

#6. 最強のふたり。火をつける人、火種を絶やさない人。

佐々木:第1回目のSW釧路が、私にとっては初めてのSW参加だったんですが、正直なところ運営をやってみたいとは全然思ってなかったんです。

イベント自体には大満足していたし、これといって心残りが無かったから。でも、かすみさんから「一緒にオーガナイザーやっていただけたりしないかな」って連絡をもらって。それこそ、佐藤さんと同じく、ココスで会って話しました(笑)

佐藤さん:かすみんは、本当にどこにでも出てくるんですよ。火をつける人というか、「やりたい!」って走り出せる人。 自分はもう10年くらい前から、いろんなイベントでかすみんを見てきていて、どういう人か分かっていたから、そこは信頼していました。

佐々木:最初に火をつける、かすみさんがいて、それを「じゃあ、どのような場として回していこうか」と考えてくれる人が佐藤さんだったと。

佐藤さん:まさに、そんな感じですね。

SWが終われば日常生活へと戻る。何もしなければ情熱は段々と冷めてしまう。でも、勢いよく「周囲の人の心に火をつけて回る人」と「その火種を絶やさない人」の両者がいると、地域に挑戦の場が育っていく。 SW釧路の裏側には、そんな関係性があった。

#7. サポーターという、新たな役職?

佐々木:佐藤さんって、ここ何年か「サポーター」という立ち位置になっていますよね。あれって、どういう役職なんですか??

佐藤さん:本来、そんな役職ないと思うんですよ(笑)。でも、3日間ずっとフルで入っているわけではないし、かといって何もしていないわけではないし。たぶん、中本さん(SWの運営母体であるNPOの理事)のご厚意で、そういう名前になったんじゃないですかね。

佐々木:でも、実態としては誰よりも深く、そして長く、SW釧路に関わり続けてくださっているキーパーソンだなと、いつも思っています。

佐藤さん:そうですね。3日間、全部プレイヤーとして参加できればオーガナイザーって名乗っていいんでしょうけど、毎回、「コーチお願いします!」とか、いろいろ役割が入ってくるから、結局そっちに回るんです。

佐藤さんのSWへの関わり方は、たしかに“サポーター”と呼ぶしかないのかもしれない。しかし、控えめに聞こえる語感には、決して、納まっていない。いざという時に、必要な役割を一手に担ってくれる「最強のピンチヒッター」と言ってもいいだろう。

#8. SW釧路は、消滅したっていい。

佐々木:今後、SW釧路がどうなっていってほしい、みたいなイメージってありますか?

佐藤さん:実は、そんなにないんですよね。

極端なことを言うと、これは「なくなったらなくなったでいい」と思ってるんです。

佐々木:SW釧路というものが消滅する未来?

佐藤さん:そう。みんなが自然に動けて、活躍してる人たちが見えるところにいて、「自分もやってみよう」と思える地域になったら、わざわざStartup Weekend みたいなイベントを用意しなくても良くなるじゃないですか。

そういう意味では、やらなきゃいけない状況の方が、本当は不自然なのかもしれない。

佐々木:な、なるほど……。

佐藤さん:もちろん、それは理想論ですよ。世界から戦争がなくなったらいい、みたいな話に近い。でも、釧路の中でSW経験者が起業したり、いろんな挑戦をして、少しずつ街のキーパーソンになっていく未来くらいは描いてもいいかなと思っています。

イベントを成功させたい人の口から、「なくなっていい」と聞くのは、一見すると矛盾しているようにも見える。

けれども、本当に目指しているのは、イベントを続けることではなく、イベントがなくても挑戦が生まれる街になること、なのだから。

#9. 激アツな情熱の炎は、次の世代へ。

佐々木:SW釧路に参加した後も、日常的に地域でアクションを起こし続けて、その熱量がSW未経験者にも伝わる流れって、既にあるなって感じませんか?

佐藤さん:ありますよね。参加者だった人が次に火をつけられる側になって、また別の人を巻き込んでいく。そういう循環は、たしかに起きてると思います。

佐々木:松明を受け取って、また次に渡していくみたいな。

佐藤さん:本当にそうです。SWに参加してもらって、巻き込んで、そこからまた新しい動きが生まれていく。まさか一緒に小野寺さんと会社をやるレベルまでいくとは思ってなかったけど、そういう展開も含めて面白いですよね。

SWの54時間で終わらないものがある。参加者が次のオーガナイザー候補になり、そこから別のプロジェクトが始まり、新たな仕事、会社までもが生まれる。実際に、佐藤さんと小野寺さんが立ち上げた会社では「日常的に、誰でもピッチができる場所」を釧路で運営中だ。

#10. 沼の入り口で待つ、謎多き人物=「佐藤さん」

SW釧路の運営メンバーであっても、実は佐藤さんの経歴を詳しくは知らない人が多い。

東京でオーディオブック関連の企業に就職し、そこからわずか1年ほどで起業。Facebookがまだ今ほど当たり前ではなかった時代に、ソーシャルマーケティング関連の会社を立ち上げ、のちにYahooに買収。さらにオーディオブック関連の古巣に戻り、CTOとして長く働いた後、クラウドファンディング企業なども経て、現在は釧路のIT事業や新しい挑戦に関わっている。

話を聞いていると、肩書きだけでは説明しきれない。

起業家であり、エンジニアであり、支援者であり、地域の仕掛け人でもある。

その多層的な経験があるからこそ、SWの54時間が持つ意味を、単なるイベントとしてではなく、“最初の一歩を試せる場”として捉えているのだと思う。

佐々木:佐藤さんにとっての Startup Weekend を、一言で表すなら、どんな言葉ですか?

佐藤さん:「沼の入り口」

佐々木:めっちゃ良いですね、沼!(笑)では最後に、参加を迷っている人に向けてメッセージをお願いします。

佐藤さん:迷ってるんだったら、もう行った方がいいです。 そもそも全然興味がない人は来なくていいと思うんです。でも、「行こうかな、どうしようかな」と少しでも思ってるなら、それはもう気になってるってことだから。欲しいものと一緒ですよ。買おうかなって迷ってる時点で、多分もう欲しいんですよ。だったら買った方がいい。SWも同じで、ちょっとでも行こうかなと思ったなら、参加した方がいいです。

「行く理由が完璧に揃ってから」ではなく、「気になったから行ってみる」でいい。

その感覚こそ、最初の一歩って、そのくらいのほうが、ちょうどいいのかもしれない。

編集後記

今回のインタビューで印象的だったのは、佐藤さんが繰り返し語っていた、

「大事なのは結果ではなく、その3日間の体験だ」 という視点。

発表の完成度。優勝したかどうか。アクションがその後も続いたかどうか。

継続のためには、はっきりとした成果は重要なポイントだ。

けれども、SW釧路の本当の価値は、その前段にある。

誰かとチームを組み、外に出て顧客の声を聞くこと。

自分の考えや常識が通じない経験をすること。

短い時間の中で、何とか形にしようともがくこと。

その時間があるから、人は変わる。

そして、その変化を何年も見続けてきた人がいるからこそ、イベントは続いていく。

素晴らしい結果を称えるためじゃない。
あの3日間を、ひとりでも多くの人に体験してほしい。
佐藤さんの言葉の奥には、そんな願いが込められていた。

Profile

佐藤 佳祐(さとう けいすけ)

2011年に「クロコス」を共同創業し、翌年ヤフーへ事業売却。 その後、オトバンクでCTOとして「audiobook.jp」の立ち上げを担当し、READYFORでエンジニアリングマネージャーを務める。 2018年5月に北海道釧路市へ移住後、株式会社 k-Hack CTOとして地域企業や行政と連携しながら技術支援・起業支援に従事。2025年に株式会社釧路オールアクションを共同創業し、地域に挑戦が生まれ続ける仕組みづくりに取り組む。

Instagram:https://www.instagram.com/keisksat/

Facebook:https://www.facebook.com/sato.keisuke

釧路オールアクションHP:https://allaction.co.jp/

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2026/5/16 (土)

6月開催の Startup Weekend 釧路に向けて、アイデア作りを楽しく体験できる導入イベントです。

  • 全国で実践されている Startup Weekend 流のアイデア作りを体験できます。
  • アイデア創出ワークショップで、仲間と一緒に発想を広げられます。
  • 講師は NPO法人 StartupWeekend 理事の中本 卓利さんです。

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2026/6/19 (金) - 2026/6/21 (日)

3日間でアイデアを形にしていく、Startup Weekend 釧路の本番イベントです。

  • 初日のピッチから始まり、共感した仲間とチームを組んで最終日に発表します。
  • 会場はペンギンファーム(釧路市北大通三丁目7番3号)です。
  • 3日間参加の方には五食と飲料が付き、途中参加・途中退出にも対応しています。

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