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「優勝したのに、やりきれなかった」2度目のStartup Weekend釧路で見えた、“次の挑戦”

公開日 2026年5月4日

Startup Weekend Kushiro

プレイベント

2026/5/16 (土)

本番イベント

2026/6/19 (金) - 2026/6/21 (日)

Startup Weekend 釧路(以降、略称「SW釧路」)は、週末54時間でアイデアを形にする起業体験イベントだ。

1分間ピッチで仲間を集め、チームで議論し、街に出て声を聞き、最終日にビジネスアイデアとして発表する。

今回話を聞いたのは、SW釧路2025で優勝した、遠藤れなさん

実は彼女、初参加の釧路SWで準優勝したのち、翌年度も再参加して優勝の座を勝ち取っている。

今回のインタビューで印象的だったのは、順位ではなく、むしろ、その後の 「優勝したけど、自分の中では、やりきれなかった」という言葉。

その背景には、自分の伝えたいことを最後に自分の口で語りきれなかった悔しさが滲んでいた。

ゆえに、本記事は“優勝者インタビュー”でありながら、同時に“次の挑戦の始まり”の記事でもある。

#1. SW釧路に参加すると、何度も恋に落ちる……⁉︎

佐々木:前回のプレイヤー参加って、実は初めてのStartup Weekendではなかったんですよね?

遠藤さん:はい、2回目です。

佐々木:最初に参加したのは釧路?別の地域?

遠藤さん:最初も、釧路でした。

佐々木:翌年の釧路SWに再挑戦し、優勝したんですね。ちなみに、ご出身も釧路なんですか?

遠藤: 出身は帯広で、十勝で、看護学校の入学と一緒に釧路に来た感じです。

佐々木: そうなんですね!帯広っ子でしたか。

遠藤: そう、どっちかというと。だけど最近はずっと釧路にいます。

佐々木: なるほど!いろんなバックグラウンドの人が釧路のSWに参加してくれるのは、純粋に運営メンバーとしては嬉しい限りです。

一度目の挑戦で場の雰囲気や流れをつかみ、自分なりの反省や学びを活かして、再挑戦する。

それこそが、優勝に繋がった秘訣なのだろう。

しかも、なんと遠藤さんは釧路SWに参加する度、毎回すてきな男性と出会い、恋に落ちてしまうのだという。

実際、全世界で開催されているSWにおいて、恋人に限らずとも、かけがえのない友だちやビジネスパートナーを得られたと語る人たちは数多い。

54時間の濃厚すぎる非日常は、"出会いの量と質を引き上げてくれる舞台装置"とも呼べそうだ。

#2. 全然知らないイベントに、参加してみる勇気

佐々木:釧路SWに参加したきっかけって、自分でイベント情報を見つけ出したんですか?それとも、誰かに誘われた?

遠藤さん:かすみさん(釧路SWの運営メンバー)に、「こういうイベントあるよ」って言われて。出てみたいな、と思って参加したのがきっかけです。その時までは、スタートアップのことは全然知らなかったです。

佐々木:当時は学生さんだったこともあり、ご存知なくても無理はないです。私も初参加時は、全然なにも知らなかった(笑

遠藤さん:はい、本当に知らなかったです。

遠藤さんは帯広出身で、看護学校への入学をきっかけに釧路へ転居したという。

もともと釧路育ちではない。けれど今は、生活の拠点としても気持ちの上でも、釧路に根を張りつつある。

そんな彼女が、学校での何気ない声かけをきっかけに、SW釧路へと足を踏み入れた。

最初はまったく知らないイベントだったはずなのに、気づけば2度目の参加。

そして、優勝まで辿り着いている。

#3. 不安より楽しみが大きかった、2回目のSW

佐々木:SW釧路の初日の夜、会場に足を踏み入れた時はどんな気持ちでした? 緊張してましたか?

遠藤さん:2回目だったので、緊張よりは「どんな子がいるんだろう」っていう楽しみの方が大きかったです。

佐々木:初めて参加した時も、全然緊張はしていなかった?

遠藤さん:1回目はもうガチガチでした。不安しかなくて。全然知らない人ばっかりだし。

1度でも経験しているだけで、その先に見えてくる景色や気持ちの余裕は、がらりと変わる。

何が起こるのか分からない不安よりも、「今回はどんな人と組めるだろう」という楽しみが勝つ。

それだけでも、遠藤さんの中に経験値が積み上がっていたことが伝わってくる。

#4. ピッチは、準備ゼロ。それでも自分のテーマで勝負!

佐々木:今回の1分間ピッチって、かなり事前に準備して挑んだんですか?

遠藤さん:全然してなかったです。マジでしてなかったです。(笑)

佐々木:その場で、ぱっと当日に思いついたものをピッチしたと。

遠藤さん:はい。

佐々木:ピッチしたテーマとしては、どんな内容だったんですか?

遠藤さん:自分の意見を周りに言えないっていう、自分自身の悩みがあって。そういう子たちでも、周りにうまく伝えられる方法はないのかな、と思ったのがきっかけです。

SWの1分間ピッチでは、「社会課題っぽいもの」を無理に"つくろう"としてしまうこともある。けれど遠藤さんは、自分の中にずっとあった悩みから出発していた。

それは、派手なテーマではないかもしれない。

でも、自分のことだからこそ、深く話せる。質問されても答えられる。なぜそれをやりたいのか、自分の言葉で語れる。

遠藤さん自身も、「やっぱり、自分の悩みをテーマにした方がやりやすい」と話していた。

これは、金曜夜のピッチを考える上でも、とても大事なヒントだと思う。

仲間を集めるなら、まず自分が本気で話せるテーマであること。 その強さが、チームの軸になる。

#5. 「この案でやりたい」——他のチームに入ろうとは思わなかった

佐々木:ピッチしたあと、チームメンバー集めの時間があったかと思いますが、その際の気持ちとして、わくわく、あるいは不安はありました?

遠藤さん:不安がありました。来てくれるかなって。いっぱい案がある中で、この案は残るのかなっていう不安もあったし。でも、自分でこれをやりたいなって思ったから、あんまり他のチームに入ろうとは思わなかったです。

佐々木:私とやりたい人はぜひ来てください、っていう気持ちがはっきりしていたんですね。

遠藤さん:はい!

揺るがない意志があったからこそ、のちのチーム運営でも、遠藤さんは自然にリーダーの役割を担っていくことになる。

実際、チームができたあとの動きも早かった。

金曜の夜、居残り作業は特にしなかったというが、その代わりに次の日に向けて何を準備するかはその場で決め、すぐに分担していた。

今回のアイデアでは、試作品として使いたいものがあった。そのため、買い出しに行く人を決めるなど、2日目の朝からすぐ動ける状態をつくって解散したのだという。

1回目の経験があったからこそ、「時間が足りなくなる」という感覚も持っていたのだろう。

54時間は長いようで短い。

その現実を知っている人の動き方だった。

#6. 翌日の朝、すでに会場にはいなかった

佐々木:2日目の朝って、みんなが集まる時間に、会場には来ていなかったですよね。

遠藤さん:はい。朝から買い物チームとインタビューチームに分かれて動いてました。会場にはいなかったです。

佐々木:朝から!仕事が早いですね。

遠藤さん:もう飛び出してました!

インタビューは、イオンや駅前、街なかなど、かなり広く歩いて行ったという。

ただ印象的なのは、その役割分担の仕方。

人に話しかけるのが苦手だと言っていた高校生には買い出しを頼み、街頭インタビューは他のメンバーが担当した。

それぞれができることを把握し、最適な指示をリーダーが出す。遠藤さんは、その場その場で自然にそういう判断をしていた。

#7. もともと「前に立つ役」が好きだった

佐々木:役割分担とか指示出しとかを自然にやっていた印象があるんですけど、リーダーの役割には苦手意識はなく、先頭を走るのが好きなタイプなんですか?

遠藤さん:はい。結構好きです!学校でもバイトでも、リーダーとか司会とか、先頭に立つ役割がめっちゃ好きで。どっちかっていうと、ついていくより、ついてきてほしいです。

この言葉は、とてもまっすぐで気持ちがいい。

リーダー役を「やらされる」のではなく、「好きだからやる」と言える人は強い。

しかも遠藤さんの場合、それは単に前に出たいということではなく、全体を見て分担し、メンバーを動かす役割として確かに発揮されていた。

今回の優勝チームの土台には、リーダーシップが確かにあった。

#8. アンケートで確かめたのは、「その悩みは自分だけのものじゃないか」どうか

2日目の朝の街頭インタビューで、遠藤さんたちが確かめたかったことは大きく2つだった。

ひとつは、「自分の思っていることを親や友達に伝えられなかった経験がある人は、どれくらいいるのか」。

もうひとつは、「思いを伝えられる人は、具体的には、どうやって伝えているのか」。

この問いの立て方は、とてもシンプルだ。自分の悩みを起点にしつつ、それが本当に他の人にも存在する課題なのかを確かめようとしている。

そして結果的には、「伝えられる」と答える人はほとんどいなかったという。

テーマ設定としては間違っていなさそうだ。

自分だけの話ではなく、他にも確かに困っている人がいる。

そんな手応えを得られたからこそ、チームは次へと歩みを進められた。

#9. かなり順調だった、はずなのに。

佐々木:コーチングの時も、かなり順調だったんですよね。

遠藤さん:そうです。1回目の時は結構ダメ出しされることが多かったんですけど。今回は、あまりそういう感じじゃなくて。「お題もハッキリしてるし、こうした方がいいよ」みたいなアドバイスが多かったです。すごい的確になってるって言ってもらえて、いい気分で終わりました。

佐々木:そうだったんですね!コーチのみなさんには実は運営側から「あえて厳しく、お願いしますわ!」と伝えているので、わりと珍しい気がしますね。

遠藤さん:そうなんです。逆に順調すぎて、不安になるくらいでした。

普通、コーチングでは厳しい指摘を受けるものだと思っているからこそ、あまり否定されないと逆に不安になる。

でも、それは、裏を返せば、すでに大枠は完成していたということでもある。

自分の悩みを起点にしていて、街でニーズも確認していて、試作品も動き出していて、話の軸も見えている。 2日目の時点で、かなり完成度は高かったのだろう。

#10. 伝えたいことを見失った、暗中模索の夜。

とても順調だったはずなのに、2日目の夜に異変が起きた。 最終ピッチに向けて、スライド資料を作り始めた時、チームの中で急に「私たちって結局何を伝えたいんだっけ?」という迷いが生まれてしまったのだという。

遠藤さん自身、今振り返っても、「なぜあの時あんなに分からなくなったのかは、はっきりしない」と言う。

ただ、とにかく一度、話がゼロに戻った。

別の新しいアイデアも、いくつか出た。

でも、今からやるにはもう遅い。アンケートも取り直さなければいけないし、情報が足りない。

結局、また最初のテーマに戻るしかなかった。

54時間の怖さは、こういうところにある。

順調に見えていても、最後の最後で急に足元が揺らぐことがある。

しかも、時間は止まってくれない。

#11. 最終日、「もう、これでやるしかない」に振り切った

佐々木:3日目の朝、そこからどうやって戻したんですか?

遠藤さん:もう、時間がないからやるしかないってなりました。そこから吹っ切れて、ひたすらパワーポイントを作りました。

最終的に、プレゼンでは“寸劇”のようなコミカルな見せ方を取り入れ、 悩みを抱えた人のシーンを、わかりやすく演じた。

その見せ方自体はチームで考えたものだったが、一部には途中で入ったオーガナイザーの助言もあったという。

ここで初めて、「順調なだけでは勝てない」という別の側面も見えてくる。

アイデアが良くても、それをどう伝えるかはまた別の難しさがある。

遠藤さんたちは、そのギリギリのところで、なんとか最終発表まで持ち込んだ。

#12. 優勝した。でも、自分ではピッチできなかった

佐々木:最終発表が終わった時って、どんな気持ちでした?

遠藤さん:自分の中では、やりきれなかった感の方が大きかったです。

佐々木:それは、最後のピッチで遠藤さん自身がマイクを握ることができなかったから?

遠藤さん:そうです。本当は自分でピッチしたかったんです。でも、その時はもう、何を話したらいいか自分でも分からなくなっていて。結局、チームメイトの方にピッチしてもらいました。それが一番心残りでした。

優勝した人のインタビューで出てきた言葉が「嬉しかった」ではなく、「やりきれなかった」

もちろん、結果は優勝だった。でも遠藤さんは、それだけでは終われなかった。

自分のテーマだったからこそ、最後まで自分の口で伝えたかった。その悔しさが、ちゃんと残っている。

だから、この優勝は、ひとつのゴールであると同時に、未完了の感覚を伴った勝利でもあった。

#13. それでも、また参加したいと思っている

佐々木:もしまたSWに参加する機会があったら、今度はどうしたいですか?

遠藤さん:今度は、最後のピッチも自分でやりたいです。最後までちゃんとやりたいです。

そして遠藤さんは、すでに次のアイデアの種も持っている。

「夜のバス停で、黒い服を着てバスを待っていると、姿が闇に溶け込んでしまい、存在に気づいてもらえず、バスが通り過ぎて行ってしまうことがある」そんな小さな不便が、遠藤さんにとっては気になる“ペイン”になっているのだという。

日常の、ごく小さな課題を探すのは面白い。

社会全体を大きく変える話でなくてもいい。

自分自身のペインが最強かもしれないが、身の回りで「かわいそう」「困るな」と感じたことを、自分のテーマとして落とし込むこともできる。

それもまた、SWらしさだと思う。

#14. 「本当に伝えたいことがあれば、仲間は集まる」

最後に、これからSWに参加しようとしている人、あるいは迷っている人に響く言葉をいただいた。

「本当に伝えたいことがあれば、仲間は集まる」

これは、実体験から立ち上がってきた言葉だ。

自分の悩みをテーマにしたからこそ、話せた。

話せたからこそ、チームができた。

その悩みは、最後までチームの軸になっていた。

遠藤さんの今回の挑戦は、優勝したという結果だけでは語りきれない。

むしろ、その裏側にあった迷いと悔しさがあるからこそ、次の挑戦が楽しみになる。

このインタビューを読んだあと、「じゃあ次は最後まで自分でやる遠藤さんを見てみたい」と思う人は、きっと多いはずだ。

編集後記

今回のインタビューで印象的だったのは、遠藤さんが“優勝者”でありながら、「やりきれなかった」と語っていたことだった。

自分の悩みをテーマにし、仲間を集め、街に出て声を聞き、順調に見えた2日目を越え、それでも最終盤で迷いが生まれる。

でも最後に自分でピッチをできないと、心残りが生まれてしまう。

この流れは、SWのリアルそのものだと思う。

きれいなフィナーレばかりではない。

思い通りにいかないこともあるし、勝ったのに悔しくて堪らないことだってある。

でも、その悔しさが次なる挑戦につながるなら、それはすでに十分大きな収穫だ。

遠藤さんは、きっと、また参加する。

そして次は、最後のピッチまで自分でやり遂げるに違いない。

そんな“次が見たくなる優勝者”に出会えたインタビューだった。

Profile

遠藤れな

帯広出身。看護学校進学をきっかけに釧路へ。Startup Weekend釧路は第3回で初参加し準優勝、第4回で2度目の挑戦を経て優勝。自分の悩みや身近な違和感を起点にテーマを考えるスタイルを大切にしている。リーダーや司会など、前に立つ役割が好き。

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6月開催の Startup Weekend 釧路に向けて、アイデア作りを楽しく体験できる導入イベントです。

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  • アイデア創出ワークショップで、仲間と一緒に発想を広げられます。
  • 講師は NPO法人 StartupWeekend 理事の中本 卓利さんです。

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  • 初日のピッチから始まり、共感した仲間とチームを組んで最終日に発表します。
  • 会場はペンギンファーム(釧路市北大通三丁目7番3号)です。
  • 3日間参加の方には五食と飲料が付き、途中参加・途中退出にも対応しています。

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